裏ジャニBR

大量(?)更新。だんだん雑になってきましたねぇ(苦笑)。
でもまだ終わらないの。だれか、短くまとめるコツを教えて〜!


11.
安田・大倉が宮益坂で立ち往生している頃、渋谷スバルは原宿へ来ていた。
最初に一度敵に追いかけられて以降は、幸いにも、敵の網に引っかかることなく無事ここまで来ることができた。ゴールの代々木公園まではあと数百mの距離である。
平日にも関わらず、原宿は相も変わらず大変な人でごったがえしている。こんなところで敵に出くわしたらひとたまりもない…と、スバルはうんざりしながらも人ごみを掻き分け先を急ぐ。
竹下通り入り口に差し掛かったところで、偶然にも仲間に出会った。
内博貴である。
その男の持つ華やかな雰囲気は、同行テレビカメラよりも、周りを取り巻くちょっとカワイイ女の子達よりも、誰よりも目立つ。
芸能人オーラ丸出しやな。あんなんすぐ見つかってしまうで―。
思わずスバルは苦笑する。
「あ、スバルくん!」
「おー!」
内はちょうど、人で賑わう竹下通りに入っていこうとしているところであった。
スバルは竹下通りには入らずそのまま直進する。
「あっち?オッケー、じゃあね」
「頑張って!」
「あいよー」
と、簡単な会話のみ交わして別れるも、仲間の無事を見届けてホッと胸を撫で下ろした。
そして、すぐに人ごみに紛れて見えなくなった内の背中を思い出し、
「バカやなぁ、あいつ。あんなトコ入りやがって」
とひとりごちた。
ただでさえキラキラとして目立つ内が、ただでさえ人の多いところへ入っていって、果たして無事でいられるはずがない…。
スバルは内の無事を祈りつつ、小走りに先を急いだ。


「はいはいはーい、手の開いてるパパラッチは、原宿に急行しなさーい!見つけましたよー。」
ここが運命の分かれ道。
「原宿・竹下通りに内君はっけーん♪」
GPSが捉えたのは、内。
【残り7人】


12.
「最初はグッ!ジャンケンぽん!!」
「勝ったー!」
「あぁ〜〜〜」
勝負に勝って諸手を挙げて喜んだのは安田。がっくりとうなだれたのは大倉である。
パパラッチに行く手を塞がれ八方塞な現状を打開すべく二人が立てた作戦とは、ジャンケンに負けたほうがおとりになり、勝ったほうを逃がすという、まさに捨て身の作戦であった。
二人は互いの無事を祈り、二手に分かれた。
大倉はその場に残り、安田は敵に見つからないよう慎重に横断歩道を渡ると、対岸の歩道へと移動する。
大倉は、安田が無事対岸に着いたことを目で確認すると、その場でしばし逡巡する。やがて意を決したように顔を上げ、同行スタッフに告げた。
「…ちょっと突っ切っていいですか?」
言うが早いが大倉は前方を見据えて走り出した。
残り31分45秒。
大股で勢いよく駆け出した大倉の足は、ぐんぐんと加速度を増し、手を大きく振りいよいよトップスピードに移る―、
か、に思えたが。
前を歩いていた通行人が、大倉の勢いに驚いて道を開けるとすぐ目に飛び込んできたのは、忌々しい迷彩服の姿。
「うわあぁぁぁぁ〜〜!うわぁ〜〜〜!!」
渋谷の街に、大倉の情けない叫び声がこだました。
そのまま抱き止められるようにがっちりと羽交い絞めにされ、目の前にカメラのレンズを突きつけられる。
「うわぁ、うわあぁぁ」
大倉はなおも奇声を発し続け右に左にかわそうとするも、敵はびったりと大倉について離れない。そこに、
「これはアウトですね」
同行スタッフの非情な声。
「アウトや……」
抵抗する力を失い、大倉はがっくりとうなだれた…。
残り31分37秒。
大倉忠義、アウト。
捨て身のおとり作戦は、わずか8秒に終わった―。
一方その時安田は、対岸の歩道を一気に走りぬけ、無事に窮地を切り抜けることができた。
大倉の“自爆テロ”のおかげで―。
「突破しました!」
カメラに向かって思わず破顔を向けるが、すぐに自分のために犠牲になった大倉を思い、
「ゴメン、大倉。ゴメンナサイ!」
と、目に涙をためてすまなそうに両手を合わせた。


「おい、捕まったったぞ」
「そんな低いトーンで“捕まったった”なんて言わないでくださいよ…」
電話の向こう、大倉の不機嫌そうな顔が目に浮かんで、思わず安田は消え入りそうな声を漏らす。もちろん電話中も、キョロキョロと周りを警戒することは忘れない。
「オレ、捕まりに行ったようなもんやからね!オマエ、絶対ゴールせえよ!」
大倉の力強い声に、安田は安心し、自身も声に力を込めて、誓った。
「約束する、マジで!オレ、オマエのためにオレはやる。やりきる!」
大倉、オレのためにホンマにありがとう。
こっから先は一人で心細ない言うたら嘘やけど、でも、オレは、やるで!
絶対、絶対ゴールするから!オマエのために―。
【残り6人】


13.
既に敵の網にかかってるとは知らない内は、原宿・竹下通りを進んでいた。
「うわめっちゃ怖いめっちゃ怖い!絶対おるやろこの辺…」
キョロキョロと右に左に目を動かし辺りをうかがいつつ、そろそろと人ごみをぬって歩く。
「うわー、みんな敵に見えてくるわ。パパラッチってどんなカッコしてんねやろ?」
この時点でまだ敵に遭遇していないのは内一人だけ。なので、敵が全員迷彩服に身を包んでいることなど、内はまだ知らないのだった。
その迷彩服が、もうすぐそばまで迫ってきていることも、もちろん知る由もなく。
「こっち行く?」
内は同行カメラに合図を送り、不意に脇道に逸れた。
「もー、人多すぎ!怖いねん」
メインストリートを離れると、人の往来も少しは楽になり、ほっと息をつく。
竹下通りのあまりの人の多さにたまらず脇道に避難したのだが、結果的にはそれが功を奏した。
内がたった今までいた辺り。
竹下通りのど真ん中で、迷彩服に身を包んだ一人の男が、内の姿を見失い立ち往生していた―。
こうしてまた内は、持ち前の悪運の強さで知らぬ間にあっさりと危険を回避していたのだが、そんなことは当の本人はやっぱり知る由もなく。
わー、めっちゃ怖いめっちゃ怖い!
スバルくん、あれから大丈夫かなぁ?
お腹もすいてきたし…。
呑気に(いや本人は至って真剣なのだが)ぶつぶつと呟きながら、内は裏原宿を進んだ。
【残り6人】


14.
「こっち渡ろうか、1回……」
スバルはしばし逡巡した結果、覚悟をきめた。
内と別れてから数分。原宿・ラフォーレ前の交差点で、スバルは信号が青に変わるのを今か今かと落ち着きなく見つめていた。
あまりにも見通しのよい、大きな交差点。
ここにいるのは危険だということは百も承知だが、代々木公園へ抜けるにはここを渡るのが最短ルートなのだ。もう制限時間の半分を切った。悠長にはしていられない。
「早く…信号…」
スバルはいつまでも赤のままの信号機と、自分の周り前後左右をそわそわと見比べため息をついた。しかし、大通りだけに、なかなか信号は変わらない。
原宿の街は、人が途切れることなく動いている。
この人ごみに紛れて、いつ敵が襲ってくるかもしらん。
早く、早く―。
時間が経つのがやたらと遅く感じる。
スバルは苛々と小刻みに体を揺らし始めた。
信号はまだ変わらない。
警戒して後ろを振り向いたスバルの目が、ふと、一点を見つめたまま固まった。
向こうから歩いてくるのは―、
さっき、散々追い掛け回された、迷彩服!!
「いぎゃーーーーー!!」
スバルは素っ頓狂な絶叫をあげ、左に走り出した。
敵はその姿を見逃さなかった。
また追いかけっこが始まった。
スバルは小柄な体を生かして、人々の間をすり抜け全力で走る。しかし敵もさるもの。振り切られることなく後ろをぴったりとついてくる。
あかん、捕まる!!
たまらずスバルは、左手に構えていたファッションビル・ラフォーレの中へと緊急避難した。
さすがにこれには敵も意表をつかれたらしい。しばらく外をうろうろしていたようだが、中にまでは入って来ることはなく、そのまま姿を消した。
助かった……。
スバルは大きく息をついた。
ルールでは、店の中に入ったらあかんとは言うてへんかったし!
しかし、避難したはいいものの―、
スバルは改めてぐるりと店内を見渡す。
これ、この建物の出入口を見張られてたら終わりやん!オレどうやってここ出るねん!
はたと最大の問題点に気付き、スバルは頭を抱えた。
【残り6人】


15.
スバルが原宿で絶対絶命のピンチを迎えている頃、横山は表参道を歩いていた。
ゴールの代々木公園まで、あと1200mというところである。
「うわ…、この辺めっちゃ怖い」
横山はきょろきょろと、警戒心を露にしながら慎重に歩を進める。
最初に追いかけられて以来、敵に遭遇することなくここまで来れた。
しかし、この辺は小さな洒落た店舗が軒を連ねており、人が身を隠すにはもってこいの場所に思えた。おまけに小道も多い。いつ、物陰から敵が現れるかと気が気でないのだ。
もしかしてもうオレ、実は見つかってるんちゃうか?
横山の脳裏を不吉な考えがよぎる。
しかしその有難くない予想はまんまと的中していた。
横山が今いる地点には、すでに本部から指令を受けたパパラッチが待ち受けていたのだ。しかし横山はまだそれに気付いていない。
敵は、横山の後方から息を潜めてじりじりと間合いを詰めていく。
そして、その背中まで十数mというところまでにじり寄ると、一気に襲撃をかけた。
後方から突如聞こえた早い足音に危険を察知した横山が、パッと振り向き次の瞬間には駆け出していた。
パパラッチは追いかけながら夢中でシャッターをきる。しかし横山は一切振り返ることなく走り続けるため、なかなか顔写真をおさめることができない。
それどころか、急襲をかけたはずなのに、まったく差が縮まらない…どころか、ぐんぐん離されていく。
横山は一向に疲れた気配も見せず、尚も軽快に走り続ける。
一方ここまでだいぶ走っているパパラッチは、すでに息が上がっており、まともにカメラを構えることさえできなくなっていた。
くそ、なんて足の速い…。
ついに、パパラッチの足が止まった。
横山は走りながら一瞬振り返り、敵がすっかりバテているとみると、ニヤリと笑ってさらに加速度を増し、人ごみの中へ姿を消した。


残り24分。
「向こうバテてたでしょ」
横山はようやく走る足をとめ、カメラに向かって笑ってみせた。
またも、横山は自慢の足で敵を振り切ることに成功したのである。
【残り6人】


16.
パパラッチは、横山が絶対通るであろうこの歩道の脇にある電話ボックスの影に身を潜め、さきほどの雪辱に燃えていた。
さっきは奇襲をかけたものの、まんまとかわされてしまった。
アイツが走り去る直前に自分に向けた、あの勝ち誇ったような笑みを思い出すと怒りがこみあげてくる。
横山のヤツ、絶対捕まえてやる。
パパラッチは鼻息も荒く、胸に下げたカメラを構えた。
―来た。
横山が向こうから歩いてくるところが、レンズを通して目に飛び込んできた。


「もしもし、捕まった?」
今しがた敵を振り切ったばかりの横山の携帯が鳴った。相手はスバルである。
「…ラフォーレ?オレも近い」
電話越しに、スバルが追い掛け回された挙句ファッションビルに避難中であることを聞く。
もうすぐ辿り着く原宿には、すでに敵がたくさん居そうやな。
そんなことを考えながら、スバルとの電話を終えて、横山は再び歩き出す。
今振り切ったばっかりだし、もうこの表参道には敵が現れることはないだろう。
なんとなくそんなふうに考えてしまっていたが、その考えが甘かったことはすぐに思い知らされることとなる。
さっき振り切ったはずのパパラッチが、本部の指令を受けて、横山の行く手に先回りしてることなど、全く念頭になかった。


パパラッチは電話ボックスの陰で息を殺し、横山が近づいてくるのを、カメラを構えて待ち受ける。
心なしか、さきほどより緊張の色は見えないようだ。油断しているのか。チャンスだ。
一歩、あと一歩―。
いまだ!!
横山の目の前に飛び出す。
横山は一瞬驚いたような顔を見せたが、こちらがシャッターを切るより一瞬早く、身を翻した。
そのまま今来た道を逆走し、角を曲がって走り去る。
今度は逃げられるなんてヘマはしない!
パパラッチはぴったりと横山の後に続く。
今度こそ、今度こそ……!!


横山は大股で右に左に角を曲がり続け、とにかく走った。
走って、走って、走り続けた。
敵はさっき撒かれたのがよほど悔しかったのか、敵意をむき出しにして執拗に追いかけてくる。
しかし、俺が本気を出して走れば、決して追いつかれることはない。
そう信じて全力で走り続けた。
脇道へ、脇道へと逸れ、どれくらい走っただろうか。
さすがの横山も息が上がってきた。
ふと、後ろを振り向くと、もうとっくに追手の姿はそこになかった。
はぁ、はぁ、はぁ……。
何度か辺りを見回したのち、ようやく横山は歩を緩めた。
その顔はすっかり上気し、耳まで真っ赤に染まっていた。
「あの人やんか!さっきからずっと俺追いかけてんの!!」
どうやら顔が赤いのは、息を切らせているせいだけではないらしい。
あまりに執拗な敵の追撃に、ついに横山の怒りが爆発した。
もう、絶対ゴールしてやるからな!覚えとけよ!!
残り21分。
横山は怒りを露に、代々木に向けて再び歩き出した。
【残り6人】


17.
「手の空いてるパパラッチ諸君、原宿・ラフォーレ前に集結ー、はい集結ー!渋谷スバルが中にいまーす。もはやヤツは鳥かごの中の鳥と同じでーす、必ず捕まえるようにー!まさに渋谷包囲網だなー。原宿なのに渋谷包囲網!面白いなぁ〜。え、シブヤじゃなくてシブタニ?…どっちでもいいそんなもーん!とにかく早く捕まえろこのバカチンがーーー!!」
【残り6人】


18.
本部からの指令を受け、スバルがいる原宿・ラフォーレ前に、続々とパパラッチが集結した。その数4人。すぐさまラフォーレを取り囲む全方位に配置される。
しかしスバルは、そのほんの少し前、寸でのところで建物から脱出していた。
しかしもう、危険極まりない大通りは使えない。
「こっちいこうか」
同行カメラに合図して、裏通りへ、裏通りへと入っていく。
地元・大阪と違い、東京は何度も仕事で来ているとはいえ、こんな裏通りに土地勘なんてまるでない。メインストリートと同じ原宿とは思えないほど閑静な裏通りをぐるぐると彷徨っていると、ゴールからどんどん遠ざかっているような気がしてくる。
スバルは焦っていた。
何度目かの角を曲がると、前方に少し大きな建物が見えた。そしてその脇の道の向こうに大通りが見える。
あの、代々木に続く交差点に出る道だ。さっき、敵に追い掛け回された―。
「よし、ここからが勝負やで」
スバルは覚悟を決めて、その道へと足を踏み入れた。
“渋谷包囲網”が敷かれ、すでに袋の鼠であることなど知らずに―。
いよいよ大通りに出る、その瞬間。
パシャッ
眩い光を突然受けて目が眩んだ。
目の前にはカメラを構えた例の迷彩服姿。
「いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
原宿の街に、スバルの絶叫が響き渡った。
「いや〜〜〜〜〜!もうあかん」
スバルは半泣きでその場にがっくりと膝をついた。
残り19分13秒。
渋谷すばる、アウト。
「いやー、裏道一本入りすぎたかー…」
敵に連行されながら、スバルは悔しさを滲ませて呟いた。
【残り5人】


19.
残すところあと13分となった。
いまだ原宿駅近くに潜伏中なのは、内。
先に捕まってしまったスバルから、電話で敵の情報を聞きだしているところである。
「え、全員迷彩服着てる?」
道端に佇み、スバルからのありがたい情報に大人しく耳を傾けている。
―と。
内がふと気付いて道の反対側に目をやる。その目の端に捉えた一人の人物。内と同じように携帯電話を耳に当てているその姿は―。
え、迷彩服、に帽子…、スバルくんが言ってたとおりのカッコしてんな、アイツ…。
てか、隣にいるヤツが持ってるの、あれテレビカメラやん!
「うわ、あれそうやん!!」
内はようやく状況を飲み込むと、慌ててその場から駆け出した。
しかし、その姿はしっかりと敵に見られていた。
すぐに、内の追跡が開始される。
内は原宿の裏手の道を逃走し続け、敵は遥か後方から不気味に追いかけてくる。内にとってはゲーム開始から50分近くも経って、これがようやく初めての、敵との追いかけっこである。
もうちょっとやったのに〜、めっちゃ怖いめっちゃ怖い!
内は半泣きで走り続け、とある小道に入った。
ふと振り返って見ると、敵はたしかに追い続けてきてはいるが、その差はまだけっこうある。それなのに、その姿にはどこか余裕が感じられるのだ。顔が、ふと笑ったように見えた。
なんやねん、あんなチンタラした走りで俺を捕まえられるとでも思ってんねやろか。腹立つ!
内はさらに足を速めて撒こうとした、が―。
眼前に広がる景色に、なにか、得体の知れない違和感を覚えた。
この道をまっすぐ、遥か前方、内の行く手に建物がどんと立ちはだかっている。
まさか―、
内は慌てて左右をきょろきょろと見渡す。
うそやん、そんなバカな―、
「もしかして、これって……」
これ以外の道は、どこにも、ない。
「うわ、行き止まりやん!行き止まりやーーーん!!」
内は思わずその場にへなへなとくずおれた。
「撮んな!撮るんじゃない!!」
「つうか、パパラッチ多すぎ!!」
もはや負け犬の遠吠え。
ようやく追いついたパパラッチが、内の目の前にしゃがみこんで、道路に横たわって半泣き状態の内の顔写真を楽しそうに次々とカメラにおさめていった。
残り12分20秒。
内博貴、アウト。
【残り4人】


ようやく、次回でラストです。
もー、何日かかってんだ自分!こりゃ「裏ジャニ裸祭りレポ」のほうが先になるかもな…。