裏ジャニBR

ムダに長かった勝手な連載も、ついに最終回ですー。
亮ちんの回が、画面見ててもちょっと状況がよくわかんなかったので、勝手に解釈しちゃいました(苦笑)。
自己満足で自己完結。


20.
長かった鬼ごっこも、ついに残り時間10分をきった。
本部は各所に散らばっていたパパラッチを代々木公園周辺に配置し、残りのメンバーをゴール寸前で捕えるという作戦に出た。最後の総力戦である。
そうとは知らない丸山隆平は、一度敵に追いかけられて以降は見つかる事なく、千駄ヶ谷から参宮橋に抜ける北側のルートをうまく通り、ついに代々木公園まであと50mという地点へ辿り着いていた。
この小田急線の踏み切りを渡るといよいよ代々木公園は目の前である。
踏み切りの手前で腕組みをし、電車が通りすぎるのを今か今かと見守る丸山。その顔は固く引き締まり、さすがに緊張の色は隠せない。なんせ残りあと10分、ゴールはもうすぐそこなのだ。
やがて開いた踏み切りの向こうに、都会とは思えない程うっそうと生い茂る緑が見えた。
「あれが代々木公園だよ」
前方の緑を指差す同行スタッフの声に、丸山のテンションも俄然上がる。
今回オレ、ホンマにいけるかも!
残り9分。
かつてないほどの見せ場の到来に、丸山の声も、足取りも大きくはずんで、喜び勇んでゴールを目指して走り出した。
一気に横断歩道を走りぬけ、代々木公園に入る一番最寄の入り口である西門までひた走る。しかしその丸山の動きは、すでに総力戦を展開する敵に見抜かれていたのだった。
ゴールの西門まであと少し、という丸山の視界に突如立ちはだかったのは、例の迷彩服。
「うわあっ!!うわぁぁっ!!」
慌ててUターンした丸山であったが、敵はカメラを構えて執拗に追いすがる。
「うわぁぁ、なんで、なんで〜〜」
こういう状況に陥ると、人ってなんでか笑ってしまうねんな。
追い詰められた丸山は、なぜかこみ上げてくる笑いを堪えきれず、足取りもふらふらと再び欽ちゃん走りになって、仕舞いには地べたにくずおれたのだった。
残り8分47秒。
丸山隆平、アウト。


御用となった丸山を待ち受けていたのは、パパラッチとの屈辱の記念撮影であった。
「あははぁ……、なんすか?ソレ……」
やがて出来上がった写真には、ニッコリと笑ってピースサインかますパパラッチと、なんとも言えない微苦笑を浮かべた丸山の哀れな姿があった―。
【残り3人】


21.
その頃錦戸は、渋谷の公園通りを無事通過し、ゴールの代々木公園へと着々と近づいていた。その距離わずか50m。
しかし残念ながら、錦戸の姿も、本部のGPSにしかと捉えられていた―。
「錦戸くんが代々木公園に接近中でーす。おそらく渋谷門か南門。パパラッチは現場に急行せよー」
公園周辺のパパラッチが、本部からの連絡を受けて、続々と渋谷門・南門と連結する歩道橋下に集結する。
まだそうとは気付いてない錦戸は、渋谷から代々木公園へと抜けるために、渋谷門・南門へ通ずる歩道橋を今まさに通過中であった。
「うーわ、めっちゃドキドキする。ヤバイヤバイヤバイヤバイ…」
ここへきて小心の虫が出てきたのか、錦戸はひたすら「ヤバイ」を連呼する。
本当は、敵に見つかったら逃げ場のない歩道橋など通りたくはなかったのだが、渋谷方面から代々木に抜けるにはこの歩道橋を通るより他ないのだから仕方がない。いや、他に道があるのかもしれないが、大阪在住の彼はそこまで東京の地理に明るくはない。
この歩道橋を渡って地上に降り、もうひとつ道路を横断したら代々木公園、すなわちゴールである。
錦戸は覚悟を決めたのか、ふっと顔を上げると、
「おっしゃ、もう行きますよ!」
そう言い置いて駆け出した。
少し距離を離された同行カメラを気遣いながらも、脱兎のごとく駆け出し、あっという間に歩道橋を渡りきる。
目の端に忌々しい敵の迷彩服を捉えたが、無視して走り続ける。
頭の中で何度もシミュレーションをしたとおり、一気に階段を駆け降りた。
そのままのスピードで次の信号を渡りきれればゴールは目の前だ。
横断歩道が青か赤か。それは錦戸の一か八かの賭けであった。
「うわっ」
思わず声が漏れた。
地上に降りた錦戸の目に飛び込んできたのは……赤い色。
「赤や〜〜〜!!!」
錦戸はがっくりとその場に膝をついた。
「う〜〜わ、最悪や……」
後ろから迫る敵に、もう逃げられないことを悟り、錦戸はついに力尽きて倒れた。
残り6分21秒。
錦戸亮、アウト。


「最悪…」
その場にくずおれた錦戸の顔を、姿を、パパラッチが次々と激写する。
錦戸はやおらガバッと身体を起こし、しつこく撮り続けるパパラッチに微苦笑を浮かべつつも、
「もう撮んなやーーー!!!」
―キレた。
錦戸の叫び声が、ゴール手前の代々木の空に、虚しく響いて消えた。
【残り2人】


22.
宮益坂で大倉と涙の別れを経験してから一人になった安田は、公園通りを北上しNHK付近まで来ていた。
大倉との“男の約束”を果たすべく、血気盛んに渋谷の街を逃走してきた安田であったが、どうしたことか残り時間10分を切った頃から、どこかオドオドと目が泳いで落ち着きがない。それは今までのように、敵の出現に怯えてのこととは思えなかった。
そして、残り時間あと5分と迫った安田の口から飛び出した言葉は―、
「あの、すいません。トイレ行っていいですか…?」
安田は最寄のコンビニエンスストアに駆け込んだ。
あの、本番中ですけど―…。
【残り2人】


23.
残り5分。
横山は表参道を突破し、ついに原宿駅近辺までこぎつけた。
今まで幾度となく敵と遭遇し、その度に自慢の足で窮地を切り抜けてきた横山。ようやくゴール目前である。
ここから代々木公園へと入るには、大通りを跨ぐ巨大な歩道橋を渡らねばならない。
横山は辺りを伺いつつ、そろそろと階段を上り始めた。
横山の顔色は、心なしか幾分青ざめているように見える。
残り時間もあとわずかとなれば、当然敵はゴール周辺を固めて横山の到着を待ちわびていることだろう。ここへきて歩道橋という見通しのいい、そして逃げ場のない究極の一本道を通らねばならないというのは自殺行為以外の何物でもない。
さすがの横山でも、ここを切り抜けるのは至難の業に思えた。
歩道橋の上で、ふと横山が立ち止まった。
その視線の先には、下の路上で横山を見上げているパパラッチの姿。
「ヤバイ。これどうしようもないなぁ」
横山は歩道橋の上で苦笑し、しばし考えを巡らせる。
姿は見つかってしまったが、幸いにも両者の間に距離がありすぎるためか、パパラッチがカメラを構える素振りはない。おまけにこの歩道橋は、三叉路に大きく跨っているため、階段は幾つもある。パパラッチは上まで上ってくることもなく、横山がどのルートを使うか出方を伺っているように見えた。
「でもこれ5分で行ける距離ですよね」
そう言うと横山は、サッと身を翻し隙を見て手近な階段を駆け下りた。
「もう、突破しますわ」
言うが早いが一気に駆け出し、勝負に出た。
そして別ルートの階段から再び歩道橋に駆け上がると、一気に駆け抜けゴール付近の階段を転がるように駆け下りる。
パパラッチはゴールへと先回りする手らしく、横山の後は追わずに真っ直ぐ代々木公園へと足を向けた。
「あっこ入ったら終わり!?」
横山が指差す先、現在地から僅か50mほど先には緑に囲まれた広大な敷地があった。
ゴールの代々木公園である。
すでにパパラッチはゴール前にスタンバイしている。
残り4分。
横山は階段を駆け下りると、パパラッチをかわすべく横道へと逸れる。
そのまま振り返ることなく一気に走り抜け―、
気付けばいつの間にか、公園の敷地内へ入っていた。
「あれ、……やった!」
長い闘いの末、ようやくゴールを手中に収めた横山は、天に向かって大きく拳を突き上げた。
そのころ代々木公園入り口で、まんまと横山に裏をかかれたと知ったパパラッチが
「よこやま〜〜〜!!」
と地団駄踏んで悔しがっていた―。


「やった……やりましたよ」
数々の窮地を俊足で切り抜け、顔写真を撮られることなく見事ゴールの代々木公園に辿り着いた横山。念願であったゴールの敷地内を歩きながらも、どうもいまいち実感がない。
それもそのはず、敷地内にはゴールを示すテープも何もないのだから。
―なんかもっと劇的な演出を用意しといてくれや…
と、横山が思ったかどうかは定かでない。


パパラッチの追跡をかわし、ゴールを目指した関ジャニ8
しかし、狙った獲物は逃さないシャッター地獄に、数々のメンバーが散っていった。
そんな中、一人の男がパパラッチの追跡を振り切る。
残り3分54秒、

横山裕のゴールにより

関ジャニ8の勝利

【残り1人/ゲーム終了・以上裏ジャニパパラッチvs関ジャニ8プログラム実施本部選手確認モニタより】


※※※
その頃、残り時間5分というところでコンビニのトイレに駆け込んだ安田が、ようやく戻ってきた。
残り、僅か30秒。
安田は幾分すっきりした顔で、慌てて走り出す。
タイムアウトとか絶対に嫌や。大倉との約束もあんのに…」
そう、安田はパートナーだった大倉が囮となって捕まったおかげでここまでこれたのだ。
“オレ、捕まりにいったようなもんやからね。オマエ絶対ゴールせぇよ!”
大倉の声が安田の脳裏にこだまする。
これは“男の約束”なのだ。絶対に守らなくちゃ…!
しかし、残り時間は18秒。
代々木公園へ通ずる信号は、赤。
「もうちょっとだけ時間欲しい!」
残り時間の少なさと、土地勘のない東京の道に立ち往生する安田。
そして―、
「うわ、終わった!」
無情にも、時計の針がタイムアップを告げた。
「……トイレ行ってたからや…。ふぁぁ…」
安田は涙目でがっくりとうなだれた。
安田章大。大倉との約束も果たせず、なんの見せ場も作れないまま、無念の時間切れとなり、『裏ジャニ/パパラッチvs関ジャニ8』は地味に本当のゲーム終了を迎えたのだった。
【終】



いつまでもズルズルと引っ張ってスンマセンほんとに…。
ようやく肩の荷がおりました(笑)。